東海道本線の伝統列車の一つだった寝台急行「銀河」(東京—大阪)。新幹線を補完する夜行列車として長く利用され、晩年には往年のブルートレインらしさを残すことでも人気があった。

電気機関車はEF65形が長く見られた=2003年
「銀河」は戦後の1949年に登場。神戸や姫路まで運転されたり、2往復体制だった時期もあった。ダイヤは時代によって異なるが、90年代以降は下りが東京を夜11時に出て大阪に翌朝7時半までに着き、上りは大阪を夜10時台前半に出て東京に翌朝6時台後半に着いた。
「新幹線の最終より遅く出発・始発より早く到着」という夜行列車としては理想的な時間帯を走り、ビジネス客に重宝する列車だった。「常連」もいたといい、新幹線との乗り継ぎで大阪以西の各都市からも利用価値が高かった。

廃止まで20年以上にわたって使われた=1990年
競争力のある列車だったからか、ブルートレイン第1世代の20系客車が76年に特急から格下げされると、いち早く投入された。使用形式はその後14系、24系と更新され、A寝台車を連結した編成は特急と比べても遜色なかった。
「銀河」は2008年に廃止されたが、晩年は寝台特急のけん引に長年活躍してきた電気機関車EF65形1000番台(PF形)がけん引する最後の定期旅客列車となり、個室寝台車やロビーカーを連結しない昔ながらのブルトレスタイルを受け継ぐ貴重な存在だった。
編成の大半を占めたのは寝台特急「あさかぜ」(05年廃止)や「瀬戸」(1998年に電車化)で使われていた車両で、レールと同じ向きにベッドがある開放式のA寝台も懐かしかった。乗ること自体が目的になっていた鉄道ファンも多かったと思う。

全区間で寝台がセットされた状態だった=2003年
筆者にとって「銀河」は、子どもの頃の20系時代の姿が印象に残る。急行だから、ブルートレイン関連の書籍ではたいてい後ろの方に少し載っているだけだったが、優美な外観は、巻頭を飾った人気の寝台特急にはない独特のオーラがあった。
実際に乗ったのは24系時代で、20系の頃の重厚感は見られなかったが、特にA寝台は優等車両としての気品にあふれ、古き良き時代のブルートレインの夜が味わえた。
心に刻まれていた「銀河」の大きくて美しいテールマークは、小さいサイズに変わってもひときわ輝いていた。

※姉妹ブログ(Amebaブログ「れきてつ」)では「銀河」の開放式A寝台を紹介しています
