2025年11月1日に環状運転開始から100年を迎えた東京のJR山手線。都心の主要ターミナルを結び、通勤・通学で利用する人はもちろん、地方から訪れた人も親しみを感じる路線だ。鉄道ファンにとってもおなじみで、ぐるっと1周する電車はいつも楽しい。
山手線は1885年3月1日、東海道線と東北線を結ぶ連絡線として品川—赤羽間が開業。1925年11月1日に現在見られる環状運転を始めた。1周34.5キロメートルを内回りと外回りの列車が約1時間かけて走る。

他の路線の列車と違って、ずっと乗っていると再び元の駅に戻ってくる。子どもの頃はこの感覚がとても不思議だった。
電気街や交通博物館の秋葉原、アメ横の御徒町、動物園の上野—。山手線は各駅ごとに街や乗り換えに特徴があって、乗っていても退屈することがなかった。
同線を1周する103系電車と、各ターミナルで出合う列車を描いた絵本「でんしゃがはしる」(山本忠敬作・絵、福音館書店)を見ると、幼少期のそうした情景がよみがえってくる。

山手線を走った歴代形式もそれぞれ思い出深い。カラフルな103系、ステンレス車体が新鮮だった205系、JR形として進化したE231系とE235系。黄緑色の電車はいつの世も、東京の電車のアイコン的な存在だ。
新規開業や直通運転の広がりなど、首都圏の鉄道は常に変化を見せる。しかし、ぐるっと1周する山手線のワクワク感は、車両が変わっても受け継がれているように思う。時代や世代を超えて、きっとこれからも。

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