国鉄末期の1985(昭和60)年3月からブルートレインで活躍したEF66形電気機関車。「あさかぜ」「はやぶさ」など伝統列車のヘッドマークを掲げた姿は多くのファンを魅了したが、JR移行後にもう一つ、ブルトレ専用機として象徴的なアイテムが添えられた。運転席窓下、車体側面にあった「流れ星マーク」だ。

車体に見られた流れ星マーク=1991年
流れ星マークは時刻表上で寝台列車を示すアイコンとして、ファン以外にも親しまれていた。ブルトレのイメージアップの一環だったのだろうか、下関運転所(当時)のEF66形にも88年夏ごろから突如掲出が始まった。
その頃は東京—下関間の寝台特急6往復のみを担当する事実上のブルトレ専用機だったから、流れ星マークの取り付けは理にかなっていて、当時中学生だった筆者も「なるほど」と妙に感心したものだった。

下関運転所(下関車両管理室)所属を示す区名札
「関」とともに長い間親しまれた=下関、2003年
流れ星マークが掲出されたのは、機関車の運用を記した仕業札を差し込むスペースだった。EF66形の前任である東京機関区のEF65形では、たとえば寝台特急「さくら」のけん引時、列車番号である「1」「2」と書かれたものが見られた。
1桁の数字は特急機らしく、当時の筆者もそれをスター機関車の証しのように感じていた。EF66形の流れ星マークは業務的なアイテムではなかったが、象徴としては同じような意味合いがあったように思う。

伴って外された流れ星マーク=2010年
下関のEF66形はその後、ブルトレ削減の波にのまれながらも、最後の「富士・はやぶさ」が廃止された2009年まで特急機として走り続けた。長年の風雨に耐えた流れ星マークは廃車解体時まで残していた車両もいて、四半世紀近くにわたって東海道・山陽の旅客輸送を支えたブルトレ専用機としての誇りが感じられた。