JR貨物の試験塗装機〜新生会社のイメージアップ作戦

国鉄からJRへ—。1987(昭和62)年4月、新たに発足した各社はイメージアップや地域密着アピールなどのため、多くの列車で塗装変更を実施した。JR貨物でも、貨物列車をけん引する電気機関車に試験的に行った。

試験塗装機の1両だったEF66 20。正面がV字にな
った太いラインのデザインで、EF66形のスタイルに
マッチしていた。この写真は背後から突然現れて、
慌てて撮った一枚=小郡(現新山口)駅、1993年

私の地元を走る東海道・山陽本線のEF65、EF66形にも試験塗装機が数両登場した。1両ごとに異なるデザインで、鉄道ファン注目の的だった。

ただ、当時は今日のようなインターネットの世ではなく、知り得る情報は限られていた。田舎の鉄道少年だった私などは、試験塗装機の運用については全く分からなかった。そんな状況だったので、レア機に遭遇したときの喜びは今よりもはるかに大きかった。

EF65PF形の試験塗装機は2両あった。写真
の1059号機は正面の黄色い部分と側面の巨大
JRマークが印象的だったが、全体的には落ち
着いたデザインだった=埴生—小月、2003年

JR貨物の試験塗装機はその後、全般検査のタイミングなどで徐々に通常塗装に戻されていったが、EF65 1059だけは2009年の引退時まで個性的な装いを保ち、人気だった。

一般市民に対してどこまで効果があったかは分からないが、鉄道ファンには「貨物会社」の存在を十分アピールし、強い印象を残した機関車たちだった。

bonuloco
東海道・山陽線の寝台特急に親しんだ元ブルトレ少年です。子どもの頃から手作り新聞を発行するなど「書き鉄」をしてきました。現在はブログ執筆を中心に活動し、ファンの視点から見た小さな鉄道史を発表しています。

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