本州西端を走る117系の残党~115系3500番台

国鉄時代の1979(昭和54)年、京阪神地区の新快速用として登場した117系電車。今年7月21日に惜しまれつつ定期運行を終了したが、その残党は本州西端の山口県内で活躍を続けている。

117系は競合私鉄に対抗するため、当時の一般車両では格段にハイグレードな車両だった。転換クロスシートが並ぶ快適性と京都〜大阪〜三ノ宮をノンストップで走る速達性は、特急を超えるような存在だった。

山口県内の山陽本線で活躍する元
117系の115系3500番台=下関駅

国鉄のエースだった117系だが、JRとなり後継形式がデビューすると、編成を短くして周辺路線に回っていった。その際、余った車両は91〜2001年に改造され、別形式に編入された。これが現在も残る115系3500番台だ。

3500番台は中間車のみの存在で14両が残存。4両編成の115系3000番台に2両ずつ組み込まれて、山陽本線の岩国—下関間を走っている。リニューアル工事を受けて117系本来の雰囲気は失われているが、平天井やカバー付きの照明などに面影を残し、転換クロスシートに座ると往時の気分を味わえる。

115系3500番台の車内。転換クロスシートは中央と
車端部のみで、その他はロングシートになっている
平天井や照明のカバーに117系時代の面影が残る

115系3000番台は現在17編成が運用されており、そのうち3500番台を組み込んだのは7本ある。列車本数自体は多くないが、比較的遭遇しやすい印象だ。瀬戸内海の車窓を眺め、のんびり117系の思い出に浸る—「本家」が走り終えた今、懐鉄・歴鉄には今後お薦めの電車になりそうだ。

※115系3500番台が組み込まれる前、3000・0番台混在編成の時代は以下にまとめています

bonuloco
東海道・山陽線の寝台特急に親しんだ元ブルトレ少年です。子どもの頃から手作り新聞を発行するなど「書き鉄」をしてきました。現在はブログ執筆を中心に活動し、ファンの視点から見た小さな鉄道史を発表しています。

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