2009年まで半世紀以上親しまれた東京—九州間のブルートレイン。活躍した車両はそのほとんどが解体されてしまったが、九州鉄道記念館(北九州市門司区)では、「富士・はやぶさ」の最終列車にも組み込まれたB寝台車「スハネフ14 11」が保存・公開されている。
スハネフ14 11は「ニューブルートレイン」と呼ばれた第2世代、14系の緩急車で、1972(昭和47)年2月に製造。日本人の体格の変化に合わせたベッド幅の拡大や寝台設置作業の効率化が進められた車両だった。
国鉄時代はブルトレの車両基地として名を馳せた品川客車区にあり「さくら」「みずほ」で使われた。その後分割民営化でJR九州の車両となり、引退するまで一貫して東京—九州間で活躍。計800万㌔以上を走った。
九州鉄道記念館では、このスハネフ14 11を2013年8月から公開。車内の基本的な構造は変わっておらず、通路の折り畳み椅子に座ってみると、夜の東京のビル群や朝日に輝く瀬戸内海など、ブルトレ乗車時の車窓を思い出す。
一方で、この懐かしい車内設備と生活水準が一層向上した現代とを比べると、B寝台車は乗り合わせた人との距離感が近く、プライバシーの面などで暮らし方の変化を痛感する。
14系などブルトレの最後まで現役だった車両は、そのまま簡易宿泊施設に転用された例もあり、今でもその姿を見ることができるが、博物館入りした車両は意外にもほとんどない。
これはJRが関わる各博物館が「企業ミュージアム」としての側面が強く、鉄道創業期や高度成長期の車両以外、特に近年まで現役だった国鉄後期の形式は今のところ保存の動きが鈍い。
その点でも、九州鉄道記念館のスハネフ14 11は貴重だ。夜行列車最盛期から終焉期まで長く活躍しブルトレブームの真ん中にいた車両はこれからも、その歴史を伝える「第二の人生」を走り続ける。
※姉妹ブログでは晩年のスハネフ14形の組成について紹介しています
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